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さむ〜い冬にはほっとなエル・プリメロを。

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ゼニス エル・プリメロ
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そうなのです。

わたしはこれまで、
こともあろうかゼニスさんについて
このブログで取り上げていなかった事に
気付いてしまったのです。

気付いてしまったのだから仕方が無い、
取り急ぎ書いてみるのです。


ということでゼニスと言えばエル・プリメロ。
そう相場は決まっているのです。

そしてエル・プリメロといえば
例の世界初の自動巻クロノグラフの「ひとつ」の話が有名な訳であります。


「世界で初めて発表」された自動巻クロノは、
何を隠そう1969年1月10日、
バーゼルフェアにおいて発表されたエル・プリメロなんだそうです。

しかし実際の発売は同年の9月になってしまったようで、
「世界で初めて発売」は1969年の5月発売のCal.6139、、、

そうです。

実はニッポンのセイコーさんに持って行かれてしまっているのです。

それなのにスイスメゾンさん達は
どうやら見て見ぬ振りを決め込んでいるご様子にて
いまだに話題にしている様子が無いのです。。
ちなみに同じく世界初の自動巻クロノの「ひとつ」、
クロノマチックについては発表こそ同年の3月3日と
少々出遅れた訳ですが、

実はブライトリングさんが1968年には
クロノマチック搭載の時計を完成させていた、
と主張しているようであります。


そしてその後の動きはと申しますと

セイコーさんは改良と進化を遂げつつ後継モデルがいくらか発表されたが
クオーツウォッチに入れ込んでしまって
機械式クロノの方は開発がストップしてしまったようで、

ブライトリング-ホイヤー連合が
約4年という歳月と、50万スイスフランとも言われる資金を投入して、
やっと作ったクロノマチックも
クオーツウォッチの台頭による機械式時計の衰退の流れに
飲み込まれてしまうかたちとなり、
きっと開発資金の回収に至る前に
生産がストップしてしまうのです。

そしてエル・プリメロはと申しますと
こちらも6年後の1975年までには生産中止に追い込まれてしまいますが
1982年以降、外部からの要請もあったようではありますが
まるでマツダのロータリーエンジンのように
ゼニスのスタッフ達の熱意によって
ほぼ原型を留めたかたちで蘇るのです。

そうです。

確かにセイコーやブライトリング連合が作った自動巻クロノ達は
色々な意味で後の時計業界に
非常に多くの良質な遺伝子を残した訳で、

これらの存在無くして現代の自動巻クロノはない
なんて事も言われたりしている訳ですが

どうのこうの申しましても
復活後、看板機として約30年間の長きに渡り
常にゼニスを支えて来たエル・プリメロは
やはり偉いのです。


ということで上に貼った古いエル・プリメロの写真、
これは古いオリジナルのCal.3019PHCを搭載したモデルなのです。

エル・プリメロといえば、
10振動という高振動がもたらすせっかちな作動音、
自動巻ながら古典的なコラムホイールと水平クラッチが組み込まれた
見栄えの良い意匠が思い浮かびますが、

やはり大変せっかちな10振動を実現する為
非常に強いメインスプリングと
高振動故の各部のストレスの大きさは
このムーブメントの弱点となりうるものであり、

復活後、Cal.400と改名したエル・プリメロは
当然のように数多くの改良が重ねられており、
いまだにメンテナンス時の交換指定部品は
複数存在しているようではありますが
ゼニスさん曰く、
「高振動による弊害は全て解消した」
んだそうです。

もっとも多くのメゾンによる更なる高振動への試みが盛んな現代、
10振動等はもうそんなに特別ではないのかも知れません。

そして近年、3019PHC搭載の古い時計を
メゾンさんのサービスセンターに預けると
そのものをメンテナンスするのでは無く
Cal.400に載せ換えられてしまう、

Cal.400の方が優れているのだから
そのものを触るより
総取っ替えした方がより良い結果が期待出来る
ということなのでしょうが、
何となく寂しい気がするのは私だけでしょうか?


ということで
実はまだ志し半ばではありますが
既に割と長めな気がしますので
この続きはまた近日中に、




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ゼニス エル・プリメロ
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ジャンル : ファッション・ブランド

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昔のエル・プリメロのムーブメントがcal.400に変更されてしまうのは以前聞いた事があったのですが、メーカーとしてはその方が高くつかないのかなぁ?なんて余分な心配をしてしまいます。

よく、ETAムーブ使用のメーカーがコンプリートメンテナンス等と言って、新品ムーブに載せかえるそうですが、それとゼニスとでは訳が違いますね。

みつぼん さん Re: タイトルなし

いつもありがとうございます。

いわゆる一般的なクラスの半完成品状態のムーブメントは
それ自体は驚く程に安く買えてしまいますよね。

半完成品を調整したり、仕上げを施したり、
独自のパーツを組み込んでいくところで
結構なコストが発生するのが普通だと思います。

セイコーさん達の自動巻が幾らから買えるかを考えると
分かりやすいですよね。

しかし古いムーブメントを
新しいムーブメントと入れ換えててしまうと
わざわざ古い時計を買った意味が半減してしまうような、
場合によってはそれこそ台無しになってしまうような、
もっとも考え方一つなのかもしれませんが。

セイコーのムーブメントでの説明は、確かにその通りですね。納得です。

汎用ムーブメントなら総取っ替えの方が、早いし安いし下手に壊す心配も無いですからね。


ただヴィンテージ時計の場合、ケースのキズ、文字盤の焼け、ムーブのクセ等、良くも悪くも何十年も年月を重ねてきた部分に魅力を感じ購入するものだと思うので、仰る様に同じエル・プリメロだと言って簡単にcal.3019PHCからcal.400に載せかえてしまうのは少し残念ですね。

Cal.400の方が優れているのは事実なのでしょうが・・・。

Re: タイトルなし

ありがとうございます。

機械式時計は本来大変にクラシカルな仕組みな訳で、
とっても特殊な方向性に業界全体が
縛られているような気もしなくもないですが
とにかく進化を続けているのは間違いないと言えると思います。

日々、改良に改良を重ねて来た結果として現行の時計達がある訳で、
すなわち古い時計達は改良前の姿ということになりますよね。

その改良前の姿故の未完成な感じや
技術が高くないが故の今ではあり得ない
手の込んだ作業や原始的でまわりくどい意匠の数々、
そして時として初期衝動的な熱さを感じる事すら出来る。

これがアンティークウォッチの魅力、
って全然表現しきれていないですねw

やはりメーカーさんに言わせれば
また壊れた、なんて冗談でも言って欲しくない
ということなのでしょうか。
何故かこんなところに月齢表示。
プロフィール

wakmanndiver

Author:wakmanndiver
大学で物理の学位を所得後、フロムAを片手に何となく入った時計業界。
以来、ジャンルにとらわれずありとあらゆる時計の小売、卸売、オリジナルやOEM等の企画提案、そして扱ってきた時計の商品説明、取説などを必要に迫られて色々と書いているうちに時計の蘊蓄が異様に溜まっている事に気付いて覆面ライターと化し、異業種の企業に時計について語れ、などと呼んでもらったりしていたら、気付けばカードフォルダの中の名刺達はその9割がアパレル関連の方達のものだったりして、自身、時計よりも英国靴の方が好きだったりもする、きっと珍しい時計人。

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